生活習慣病・ダイエット
慢性腎臓病で漢方薬ができること
日本人の慢性腎臓病の患者数は、1480万人でこれは、20歳以上の7人に一人だということが2023年発表されています。
記憶があいまいなのですが、いつだったか8人に一人と言われていたので、どんどん増える傾向になっています。
腎臓の異常は、検査の数値でしかわかりにくく、かなり進んでから自覚症状が出てくるので、検査の数値の異常を認識していても、痛くもかゆくもないので、多くの方は何もせずほっておくとことが多いのですが、そろそろ何かしたほうがいいと思ったときにはかなり難しいことが多く、あれよあれよという間に、最終的には透析になるケースが多いです。
慢性腎臓病がどういった病気なのかを知っていただき、漢方薬がどういったことができるか、またご自身で出来ることをお伝えしたいと思います。
【慢性腎臓病とは】
腎臓にある毛細血管の塊の糸球体に何らかの原因で炎症がおこり、腎臓の働きが悪くなってしまう。一定程度以上、糸球体が壊れてしまうともとに戻ることはなく、最終的に尿から排出するはずの不要なものが出ないために、命が危なくなってしまう。
【腎臓の働き】
腎臓が沈黙の臓器といわれています。
どんな働きがあるのでしょう?
1.血液中の老廃物の濾過と排出
腎臓には、1分間に約1リットルの血液が流れ込み、糸球体というところで、不要なものと必要なものを分けてる
2.体液の量とイオンのバランスの調整
糸球体で濾過された水分の99パーセントは再吸収されます
3.ホルモンの分泌
レニン:塩分と水分の排出量をコントロールし血圧を調整します
エリスロポエチン:赤血球の生成を促します
活性型ビタミンD:カルシウムの吸収を助け、骨の代謝を調整します
【腎臓の機能を調べる検査】
1.たんぱく尿検査
1+、2+ :慢性腎臓病の疑い
激しい運動をしたあともたんぱく尿が出る場合があります
2.血清クレアチニン検査→eGFR(推算糸球体濾過量)
90以上は正常
60未満は、慢性腎臓病の疑い
1と2の組み合わせ、自覚症状などによってどの時期かをみる
糖尿病の人は、尿中のアルブミン値をみる
【慢性腎臓病になりやすい人と原因】
高血圧、糖尿病、肥満、脂質代謝異常症の人は、慢性腎臓病になりやすいです。
上記の疾患は、生活習慣病といわれるものですが、すべての血管に負担がかかっていて、毛細血管の塊である腎臓にも、大きな負担になっています。慢性腎臓病になると、脳卒中、心筋梗塞、心不全、認知症、貧血、高血圧、骨や関節の障害も起こりやすくなります。
【症状】
腎臓の働きは、水分調整、ミネラルの調整、血液を作ったり、骨を作ったり、血圧を調整したり。。。と、休みなく働いてくれています少々の異常があって休んでいられないくらいの働き者。だから、沈黙の臓器と言われているのです。
潜伏期:顕微鏡レベルでわかるくらいの血尿やたんぱく尿
この時期は、自覚症状はありません
機能している糸球体が1/6になったあたりから自覚症状がでてきます
進行期:尿の異常に加えて、高血圧やむくみがあらわれます
腎不全期:頭痛、吐き気、貧血などがあわわれます。→透析を考える時期
尿毒症期:本来なら排出される毒素がたまってきてしまうために、意識障害、けいれん、呼吸困難などの症状がでてきます
【予防と治療】
生活習慣の改善が必要になります
☆食事
時期によって制限しなくてはいけないものが異なります。ひどくなればなるほど、制限が多くなってきます。
軽度:たんぱく質、カリウム、水分などの制限をする必要のない時期ないですが、塩分、脂質、糖質の摂りすぎに注意しましょう。
GFR60未満:たんぱく質の制限が必要になってきます。 たんぱく質は分解されると体に対して毒物を作ってしまい、腎臓の負担になるため控える必要があります。
GFR45未満:カリウム制限。カリウムが排泄されないと、心臓の負担になってしまいます。
☆運動
適度な有酸素運動
☆考え方
交感神経が緊張するような生き方をしない
【漢方ではどのように考え、どのようなことができるか】
もともと内臓が弱いか、飲食不摂生で弱ってしまったため、本来の腎臓の働き弱くなってしまった。
どこの内臓の働きが弱いかを見極め、内臓の働きを改善していくことができます。
腎臓の働きは、血液の濾過なので、血液の汚れは負担になってしまいます。内臓の働きを良くし、血液の汚れをきれいにする漢方薬を使い、腎臓の負担を軽減することができます。
クレアチニン低下作用があるといわれている生薬は、黄耆、大黄、丹参、冬虫夏草ですが、初期の段階で生活習慣の改善とともに使うと、改善していくかもしれません。
【まとめ】
透析という医学の進歩がなければ、体中に毒素がたまり、命の危険にさらされるので、今の時代だから、透析という方法を使い生命を維持することができます。
とはいえ、できることなら透析をしないほうが良いと思います。
慢性腎臓病が進行していくと、週3回、1回3~4時間、体の中の血液を機械にかけてきれいにしていく透析をすることになります。正月もお盆も絶対にしなければなりません。旅行をする場合は、あらかじめ透析ができる病院を探しておく必要があります。透析をされている方は様々な方がおられるようで、透析後の出血が止まらない方、すぐにが動けない方など透析後の体調に大きな差があるようです。透析をしたら、1日に飲める水分の量を決められ、飲みたいのに飲めないことがつらいということをおっしゃっていました。最初は、おしっこが出ていたけれど、だんだんでなくなってしまうようです。
透析をされている方は、それで体がよくなるかといったら、残念ながらそうではありません。引き続きお薬を、いいえもっとお薬の量が増えていっていく方が多かったです。それと、皮膚がものすごくかゆくなるようで、ほとんどの方はかゆみ止めの塗薬をもらっていました。
私の母は今年95歳です。30年近く前に腎臓がんで腎臓を一つとっています。大事な臓器は2個ありますが、2個ある腎臓を一個とってしまい、残り1個しかないと心細いようです。癌の再発は全くないのですが、残り1個の腎臓が弱くなってきて、血液検査でカリウムの数値が高くなり、足のむくみがひどくなってきたのでカリウムの多い食品を控えるように言われました。もともとカリウムの多い果物、サツマイモ、野菜が好きなので、「食べるものがない」とぼやいていました。栄養指導もうけたのに、いろいろ考えるのがめんどくさいので、食事をほとんど摂らなくなり、フラフラしてきてしまったようです。年も年ですし、食べたいものが食べれないことは楽しみがなくなりますので、医師に相談して、カリウムを排泄する薬を飲んでいます。カリウムの正常値になり、足のむくみのなくなりました。
母の食事は、すごく良いとは言えませんが、加工食品やインスタントをほとんど食べないことが、腎臓への負担が少ないのではないかと思います。
その方によって原因や体質、食事の摂り方、アルコールの摂り方、飲まれているお薬などが違うので、気になる方はお気軽に、京都府向日市にある漢方心愛薬局にご相談ください。