生活習慣病・ダイエット
糖尿病で出来た終末糖化産物のAGEsには生薬の丹参が有効
糖尿病は古くからある疾患で、「消渇」といわれますが、こう呼ばれる状態はかなり進行しています。多飲、多食、多尿、消痩が特徴的症状になります。
現代の糖尿病は自覚症状がほとんどない時に、健康診断で発見されることが多くなりました。食事や運動などの生活習慣が関係していることから、生活習慣病の一つですが、血液検査の結果が糖尿病の予備軍であると言われても、生活のどこをあらためてよいかわからず、どんどん悪化してしまうことも多い病気です。
合併症が怖いのはよくご存じですが、血糖値が高いと言われても、自覚症状がないのでなかなか食事や運動などを改善することを後回しにしがちです。自分の体で起きていることを知り、漢方薬などを使ううことでより合併症などを避けることができます。
糖尿病とはどんな病気で、どういったことが原因しているかを、西洋医学的なことと漢方的なところから考えていきましょう。
【糖尿病とは】
血液中の糖が慢性的に高くなる病気です。
血液中の血糖を調整するホルモンであるインスリンの分泌量が低下しているか、インスリンの働きの悪化といった背景があります。
血糖値が高くなったといっても、初期の場合は特に自覚症状はありません。
【診断基準】
血液検査の結果が判断の基準になります。
①何も食べない空腹の状態での血糖値が126mg/㎗以上
②ヘモグロビンA1Cが6.5以上となった場合、別の日に
③75g経口ブドウ糖負荷検査で2時間後の血糖値が200mg/㎗以上
これらの結果になった場合を糖尿病といいます。
血糖値は、食事の影響をすごく受けますので、採血前に食事を抜くと血糖値が低い数値になります。
ヘモグロビンA1Cは、赤血球のヘモグロビンと血管内のブドウ糖が結合したもので、約2か月前の血糖の状態を推定できます。
空腹時の血糖が基準値内であっても、ヘモグロビンA1Cが基準値以上であるということは、血糖値の高い状態が続いていたということになります。
【糖尿病で何が問題なのか】
血管壁のコラーゲン繊維(タンパク質)に血糖(ブドウ糖)がくっついて化学変化を起こします。
それによってAGEs(終末糖化産物)ができます。これはとっても毒性が強いので、血管をボロボロにしてしまいます。また、老化を早めてしまう原因物質といわれています。
AGEs(終末糖化産物)は、タンパク質が新陳代謝によって入れ替わるときに一緒に消えます。しかし、新陳代謝の遅い場所にはたまり続けてしまいます。
血管や肌の真皮→14~15年
眼球の水晶体「クリスタリン」→一生入れ替わらない
関節軟骨→一生入れ替わらない
AGEsを大量に含む食品は、フランクフルトソーセージ、ベーコン、フライドポテトなどなので、控えるようにしましょう。
【糖尿病の合併症】
このAGEs(終末糖化産物)が一番最初にボロボロにしてしまうのは毛細血管です。
毛細血管が多く集まるところとして、目や腎臓、末梢神経がダメージを受けてしまうと合併症が引き起こされたということになります。
糖尿病の合併症といえば、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害がよく知られていて、一番最悪な状態になると、失明、透析、足などの切断となります。
毛細血管だけでなく一般的な血管もダメージを受けてしまうと様々な症状、病気を引き起こしてしまいます。
動脈硬化の場合は、脳なら認知症や脳卒中、心臓なら狭心症や心筋梗塞、下肢に起こると下肢閉塞性動脈
神経障害として、顔面麻痺、突発性難聴、神経痛、立ちくらみ、不整脈、胃腸障害、便秘、下痢、排尿障害、インポテンツ、筋肉の痙攣
筋萎縮、しびれ、感覚鈍麻、皮膚の難治性潰瘍
その他に、白内障、感染がおこりやすくなり治りにくい、骨粗しょう症 といったことがあります。
【血糖値をあげるもの】
〇食事:ごはん、パン、うどん、アルコールなどの糖質の多いもの
〇ストレス
【なぜストレスが血糖値をあげるのか】
慢性的なストレスがあると、交感神経が優位な状態になりアドレナリンやノルアドレナリンが分泌され、これが血糖値をあげてしまいます。
交感神経が優位な状態がずっと続くと、食べることで胃腸を刺激して副交感神経を優位にしようとします。リラックスするために大食いしてしまい、結果として血糖値が上昇してしまいます。これを繰り返すことで、常に血糖値が高い状態になってしまいます。
【漢方ではどう考えるのか】
味の濃いもの、甘いもの、油っこいものの過食により、胃に熱が多く発生します。胃に熱があると食欲亢進させてしまい過食し、血糖値が高い状態を引き起こしてしまいます。
【今すぐできること】
症状がなく血糖値が高い場合は、糖尿病予備軍、初期段階の軽症糖尿病の場合は、食事と運動を基本に考えます。
〇食事
①血糖吸収が穏やかな食べ物を摂る(精製された糖質は控える)
②よく噛み、ゆっくり食事をする
③野菜、肉、魚、ごはん、パンの順に食べる(食物繊維の多いものから食べて、糖質は最後に食べる)
④腹八分目
⑤肥満の傾向の人は、3か月で3kg減量
〇運動
1週間に150分運動を行う(有酸素運動)
例えば、ウォーキング1回30分 1週間5回
1回50分 1週間3回
筋肉トレーニング 1セット10分程度を週2~3回
脈拍数の目安は、(220-年齢)×0.5=運動時の脈拍数の目安
【漢方薬で出来ること】
過食のために胃に熱をもち、さらに食欲が亢進してしまいます。胃腸の働きを良くし、便通をよくして、過食を防止することができます。
ストレスが原因している場合は、気の流れをよくする漢方薬を服用することで、過食を防止することができます。
出来てしまった終末糖化産物であるAGEsは、丹参・玄参・桂枝といった生薬が取り除くことができるので、それらが含まれる漢方薬を服用することで、血管をボロボロにすることを予防することができます。
合併症のしびれ、白内障、おできなどの皮膚疾患にも漢方薬を使うことができます。
【インスリンの濃度が高く低体温の人に漢方薬を】
食後に上がってしまった糖を下げるインスリンの分泌量が低下しているか、インスリンの働きが悪化している状態が糖尿病といわれますが、インスリンの濃度が高いのに、血糖値やヘモグロビンA1cが高く糖尿病といわれる場合があります。こういった方の多くは、体温が低いために細胞内に入ったブドウ糖が消費されません。その結果、血糖値が高くなってしまいます。
病院でもらった薬を飲んだとしても、血糖値を下げることはできないばかりか、血流を悪くしてしまうのでかえって他の不調を引き起こしてしまいます。
低体温の方は、体を温める漢方薬を服用することで糖の消費を促すことができます。
【まとめ】
自覚症状がない糖尿病の場合、薬を飲んでいれば特に何もすることもないと考えて、生活習慣の改善などしない方が多いです。
気づけば、血管がボロボロになってしまい手遅れということもあります。
血糖値が高くなり始めたとき、糖尿病予備軍の段階で生活習慣の見直しと漢方薬の服用が一番おすすめですが、すでに糖尿病のお薬を何年も飲んでいる方でも、病院のお薬には血管を若返えらすことは残念ながらできないので、漢方薬を併用することで、合併症の予防をすることができます。
京都府向日市、漢方心愛薬局にお気軽にご相談ください。