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『牛車腎気丸』閉経後の女性や高齢者によくみられる変性すべり症、漢方ならどう考える?

「少し歩くと腰が痛くなる」
「お尻から脚にかけて、しびれや痛みがある」
「買い物に出かけても、途中で休まないと歩けない」

このようなお悩みはありませんか?

閉経後の女性や中高年以降の方に多くみられる腰の病気の一つに、腰椎変性すべり症(ようついへんせいすべりしょう)があります。

年齢を重ねるにつれて、腰の骨や椎間板、関節などに変化が起こり、腰の骨が本来の位置からずれてしまう病気です。神経の通り道が狭くなると、腰痛だけでなく、脚の痛みやしびれ、歩きにくさにつながることもあります。

「年齢のせいだから仕方がない」と我慢している方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、症状に合わせた治療や生活上の工夫によって、日常生活の負担を軽くできる可能性があります。

漢方では、腰の痛みや脚のしびれを、痛む場所だけの問題として捉えるのではなく、年齢による身体の変化や、冷え、疲れやすさ、尿の状態なども含めて考えます。

今回は、変性すべり症の原因や治療について解説しながら、漢方で大切にしている考え方と、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)についてお話しします。

 

 

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【変性すべり症の原因】

背骨は、椎骨(ついこつ)と呼ばれる骨が積み重なってできています。骨と骨の間には椎間板があり、関節や靱帯などとともに、身体を支えたり動かしたりする働きをしています。

ところが、年齢とともに椎間板や関節、靱帯などに変化が生じると、腰椎を安定させる力が弱くなり、骨が前方にずれてしまうことがあります。

これが腰椎変性すべり症です。

特に第4腰椎付近に多く、中年以降の女性に多くみられます。

骨のずれによって神経の通り道である脊柱管が狭くなると、神経が圧迫され、腰や脚にさまざまな症状が現れます。

ただし、骨がずれていても症状がほとんどない方もいます。画像検査で異常が見つかったからといって、必ずしもそれが痛みの原因とは限りません。

 

【変性すべり症の症状】

代表的な症状には、次のようなものがあります。

  • 腰痛: 立ち上がるときや身体を動かしたときに痛む
  • お尻や脚の痛み: 腰からお尻、太もも、ふくらはぎなどに痛みが広がる
  • 脚のしびれ: ピリピリする、感覚が鈍い、力が入りにくい
  • 歩きにくさ: しばらく歩くと痛みやしびれが強くなり、休むと楽になる
  • 長時間立っていることがつらい: 立ち仕事や家事を続けにくくなる

特に特徴的なのが「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」です。

歩き始めは問題なくても、しばらく歩くと脚の痛みやしびれが強くなり、前かがみになったり、座って休んだりすると楽になる状態です。

症状が進行すると、歩ける距離が短くなったり、安静時にも痛みやしびれが続いたりすることがあります。

 

【ほかの腰痛との見分け方】

腰痛にはさまざまな原因があり、症状だけで正確に見分けることはできません。代表的な違いを知っておきましょう。

筋肉や筋膜による腰痛

長時間の同じ姿勢や、無理な動作、筋肉の疲労などによって起こります。

腰の筋肉を動かしたり、押したりすると痛みが強くなることがあります。

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板の一部が突出し、神経を圧迫することで腰痛や脚の痛み、しびれが起こります。

比較的、前かがみや座る姿勢で症状が強くなることがありますが、症状には個人差があります。

腰部脊柱管狭窄症

神経の通り道が狭くなる病気です。

歩くと脚の痛みやしびれが強くなり、前かがみで休むと楽になる「間欠性跛行」が特徴です。

変性すべり症によって脊柱管が狭くなり、脊柱管狭窄症を伴うこともあります。

骨粗しょう症による圧迫骨折

骨がもろくなっていると、転倒などの明らかなきっかけがなくても、背骨がつぶれるように骨折することがあります。

突然の強い腰痛や背中の痛みがある場合には注意が必要です。閉経後の女性や高齢者では、特に骨の健康にも目を向けることが大切です。

なお、急に脚の力が入らなくなった場合や、尿が出にくい・漏れる、便の異常、股の間の感覚が鈍くなるなどの症状が現れた場合は、緊急の診察が必要です。

 

【西洋医学ではどのように治療する?】

変性すべり症では、症状の程度や神経の圧迫の状態に応じて治療を選択します。

保存療法

症状が比較的軽い場合には、手術をせずに治療することが一般的です。

  • 痛みに応じて活動量を調整する
  • 必要に応じて鎮痛薬などを使用する
  • 医師や理学療法士の指導のもとで運動療法を行う
  • 状況に応じてコルセットを使用する
  • 症状によっては神経ブロックなどを検討する

痛みが強い時期に無理をする必要はありませんが、長期間、必要以上に身体を動かさない状態が続くことも避けたいところです。

手術療法

保存療法を続けても症状が改善しない場合や、歩行への支障が大きい場合、神経症状が進行している場合などには、手術が検討されます。

神経の圧迫を取り除く手術や、腰椎を安定させるための固定術などがあります。

どの治療が適しているかは、画像検査だけでなく、症状や生活への影響、神経の状態などを踏まえて判断されます。

 

【変性すべり症になりやすい人の特徴】

変性すべり症は、単一の原因で起こるものではありません。

次のような要素が関係すると考えられています。

  • 加齢による変化: 椎間板や関節、靱帯などの変性が進む
  • 女性: 中年以降の女性に多くみられる
  • 腰への負担: 重い物を持つ、腰を反らす動作を繰り返すなど
  • 筋力や身体機能の低下: 身体を支える力が低下すると、日常動作に負担がかかりやすい

ただし、これらに当てはまるからといって、必ず変性すべり症になるわけではありません。

また、閉経後は骨密度が低下しやすくなりますが、骨粗しょう症と変性すべり症は別の病態です。

骨や関節の変化をすべて「年齢のせい」とひとまとめにせず、それぞれの状態を確認することが重要です。

 

【漢方では変性すべり症をどう考える?】

漢方では、身体の不調を痛む場所だけで判断するのではなく、体質や全身の状態を含めて考えます。

変性すべり症による腰痛や脚のしびれについても、年齢による身体の変化、冷え、疲れやすさ、むくみ、排尿の状態などを確認しながら、漢方でいう「証(しょう)」を考えていきます。

ここで大切になる考え方の一つが、「腎虚(じんきょ)」です。

腎虚とは?

漢方でいう「腎」は、現代医学でいう腎臓だけを指す言葉ではありません。

成長や発育、加齢、生殖、骨や足腰の働きなどに関係する、身体の根本的な力を支える概念です。

年齢を重ねるにつれて、漢方では「腎」の働きが衰える「腎虚」の状態になりやすいと考えます。

腎虚では、次のような変化がみられることがあります。

  • 腰や膝に力が入りにくい
  • 足腰がだるく、疲れやすい
  • 足腰が冷える
  • 頻尿や夜間尿が気になる
  • むくみやすい
  • 年齢とともに体力が低下してきた

もちろん、これらの症状があるからといって、すべて腎虚とは限りません。実際には、ほかの体質や病態も合わせて判断します。

腰痛やしびれには「腎虚」だけでなく「血」や「水」の状態も関係する

漢方では、身体を巡る「気・血・水」のバランスも重視します。

例えば、血の巡りが滞った状態を「瘀血(おけつ)」といい、慢性的な痛みや、刺すような痛み、同じ場所に続く痛みなどを考える際の手がかりになります。

また、水分代謝の偏りや冷え、むくみなども、身体の状態を判断する材料になります。

変性すべり症の方でも、腰の痛みだけが目立つ方、脚のしびれが強い方、冷えや疲労感を伴う方など、状態はさまざまです。

そのため、病名だけで漢方薬を決めるのではなく、どのような症状があり、身体全体がどのような状態にあるのかを確認することが大切です。

 

【牛車腎気丸はどのような漢方薬?】

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は、漢方でいう腎虚を考える際に用いられる処方の一つです。

医療用製剤の効能・効果には、疲れやすく、手足が冷えやすい方などの腰痛、下肢痛、しびれ、排尿困難、頻尿、むくみなどが挙げられています。

つまり、腰痛や脚のしびれに加えて、冷えや疲れやすさ、尿の状態などがみられる場合に、体質や症状を確認しながら検討する漢方薬です。

牛車腎気丸は、八味地黄丸を基本とした処方に、牛膝(ごしつ)と車前子(しゃぜんし)を加えたものです。

漢方では、腎を補いながら、水分代謝などにも配慮する処方として用いられます。

ただし、牛車腎気丸が変性すべり症そのものを治す、骨のずれを戻す、あるいは狭くなった脊柱管を広げるということではありません。

また、変性すべり症による症状に対して、誰にでも同じように効果があるわけではありません。症状や体質を確認し、適応を慎重に判断する必要があります。

 

【牛車腎気丸以外の漢方薬が合う場合も】

漢方では、同じ腰痛でも、冷えが強いのか、筋肉の緊張が目立つのか、血の巡りの滞りが考えられるのか、疲れやすさや胃腸の状態はどうか、といった点を確認します。

そのため、変性すべり症という病名だけで牛車腎気丸に決めるわけではありません。

別の漢方薬を検討する場合もありますし、漢方薬よりも先に整形外科での検査や治療が必要な場合もあります。

 

 

【変性すべり症を予防するためにできること】

加齢に伴う変化を完全に防ぐことはできませんが、腰への負担を減らし、身体を支える力を維持するためにできることはあります。

腰に負担をかけすぎない

重い物を持ち上げるときは、腰だけを曲げるのではなく、膝を曲げて身体に近づけて持つようにしましょう。

腰を大きく反らす動作や、痛みが出る動作を繰り返さないことも大切です。

無理のない範囲で身体を動かす

腰や脚の状態に合わせて、ウォーキングやストレッチ、筋力トレーニングなどを取り入れます。

ただし、歩くと脚の痛みやしびれが強くなる場合は、無理に歩き続けないでください。運動の内容や量は、医師や理学療法士に相談しながら決めましょう。

骨の健康を守る

閉経後の女性では、骨密度が低下しやすくなります。

カルシウムやたんぱく質などを含むバランスのよい食事を心がけ、必要に応じて骨密度検査を受けることも大切です。

身体を冷やしすぎない

冷えによって腰や脚の不快感が強くなる方は、衣服や入浴などで身体を温める工夫をしてみましょう。

ただし、温めれば骨のずれが改善するということではありません。気持ちよく過ごせる方法を選びましょう。

 

【変性すべり症になってから気をつけたいこと】

すでに変性すべり症と診断されている方は、痛みを我慢しながら無理を続けないことが大切です。

  • 痛みやしびれが強くなる動作を避ける
  • 長時間同じ姿勢を続けず、適宜休憩する
  • 歩ける距離や症状の変化を確認する
  • 医師の指示に従って運動や治療を続ける
  • 漢方薬を使う場合は、服用中の薬や持病を薬剤師・医師に伝える

特に、脚の筋力低下が進む、歩ける距離が急に短くなる、排尿・排便の異常が出るといった変化には注意が必要です。

 

 

【まとめ 腰痛やしびれを、年齢のせいだけにしないために】

変性すべり症は、加齢に伴う腰椎や関節などの変化によって起こり、中年以降の女性に多くみられる病気です。

腰痛だけでなく、脚の痛みやしびれ、歩きにくさにつながることもあります。

まずは整形外科で状態を確認し、必要な治療を受けることが大切です。

そのうえで、冷えや疲れやすさ、むくみ、排尿の状態なども気になる方は、漢方という選択肢について相談してみるのもよいでしょう。

漢方では、年齢による身体の変化を「腎虚」という考え方から捉えることがあり、牛車腎気丸も、その方の体質や症状が合う場合に検討される処方です。

ただし、同じ病名でも、身体の状態は一人ひとり違います。

「自分には牛車腎気丸が合うのだろうか」
「腰痛だけでなく、冷えや疲れやすさも気になる」
「病院で治療を受けているけれど、漢方も取り入れられるだろうか」

そんな疑問をお持ちの方は、一人で悩まずにご相談ください。

漢方心愛薬局では、現在の症状だけでなく、冷えや疲れやすさ、胃腸の状態、睡眠、日常生活の様子なども伺いながら、その方に合った漢方の考え方をご一緒に考えていきます。

年齢だけを理由に諦めるのではなく、これからも自分らしく動ける毎日を目指して、身体の状態を見直してみませんか?

腰痛や脚のしびれでお悩みの方は、京都府向日市 漢方心愛薬局にご相談ください。

 

 

※この文章の執筆、監修者 薬剤師 岩脇左予巳

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