腰痛・膝痛などの痛み
『逍遥散と冠心逐瘀丹』腰に異常がないのに3か月以上続く慢性腰痛でお困りの方へ
「腰が痛くて病院で検査を受けたけれど、特に異常はないと言われた」
「湿布や痛み止めを使っているけれど、なかなかよくならない」
「仕事や家庭のことでストレスが続いていて、腰痛も長引いている気がする……」
このようなお悩みはありませんか?
腰痛が長く続いていると、動くことがつらくなったり、好きなことを楽しめなくなったり、気持ちまで落ち込んでしまうことがあります。
検査で大きな異常が見つからなくても、痛みが気のせいというわけではありません。
実は、慢性的な腰痛には、筋肉や関節などの身体的な要因だけでなく、心理的なストレスや睡眠、気分の状態などが関係していることがあります。
今回は、3か月以上続く慢性腰痛について、病院での診断や治療、漢方の考え方、そして「逍遥散(しょうようさん)」と「冠心逐瘀丹(かんしんちくおたん)」という漢方薬の選択肢についてお話しします。

【慢性腰痛はどの年代に多いのでしょうか?】
腰痛は幅広い年代でみられますが、年齢を重ねるにつれて、腰椎や椎間板などの変化が関係することも増えてきます。
特に、仕事や家事、介護などで忙しい中高年の方は、身体への負担に加えて、精神的な負担も抱えやすいものです。
例えば、次のようなお悩みはありませんか?
- 40代、50代になってから腰痛が長引くようになった
- 仕事や家庭のことで気を張る毎日が続いている
- 休んでも疲れが抜けず、身体のあちこちがつらい
- 腰痛が気になって、外出や趣味を楽しめなくなった
- 痛みがいつまで続くのか不安になる
慢性腰痛は、単に年齢や身体の変化だけで説明できるとは限りません。
なお、慢性腰痛が特定の年代だけに起こるわけではなく、若い方にもみられます。年齢だけで原因を判断することはできません。
【心理的ストレスが腰痛に関係することがあります】
「ストレスで腰が痛くなるなんて、本当なの?」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
腰痛の原因には、筋肉や関節、神経などの身体的な問題のほか、心理社会的な要因が関係することも知られています。
例えば、こんな経験はありませんか?
- 緊張する仕事が続くと、腰の痛みが強くなる
- 心配事があると、身体に力が入りやすい
- 嫌なことがあった日は、いつも以上に痛みが気になる
- 夜も痛みが気になり、なかなか眠れない
ストレスが続くと、筋肉の緊張や睡眠の乱れ、気分の落ち込みなどが生じ、痛みを感じる仕組みにも影響することがあります。
ここで大切なのは、ストレスが関係しているからといって、痛みが想像上のものというわけではないということです。
痛みは実際に存在します。身体と心は密接につながっているため、心身の両面から考えることが大切なのです。
【長引く腰痛が、さらにストレスを生む悪循環】
慢性腰痛でお悩みの方に知っていただきたいのが、痛みとストレスの悪循環です。
例えば、次のような流れです。
- 仕事や家庭のことでストレスがたまる
- 身体が緊張し、痛みを感じやすくなる
- 腰痛が続き、動くことや外出が不安になる
- 眠れない、気分が落ち込む、生活を楽しめない
- さらにストレスが増え、痛みが気になりやすくなる
このような状態が続くと、腰そのものへの対処だけでは、十分な改善につながらない場合があります。
「痛みがあるから気持ちが落ち込む」のか、「ストレスがあるから痛みが強くなる」のか。
どちらか一方だけではなく、互いに影響し合っていることもあるのです。
だからこそ、痛みのある部分だけを見るのではなく、睡眠や疲労、気持ちの状態、日常生活での負担にも目を向けることが大切です。
【病院ではどのように診断・治療するのでしょうか?】
慢性腰痛の診断基準
一般に、腰痛は続いている期間によって分類されます。
- 急性腰痛:発症から4週間未満
- 亜急性腰痛:4週間以上、3か月未満
- 慢性腰痛:3か月以上
これは腰痛の期間による分類であり、3か月続けば必ず同じ病気であるという意味ではありません。
腰痛は症状の名称であり、その背景にはさまざまな原因が考えられます。
【検査で異常が見つからない場合もあります】
病院では、痛みの場所や経過、身体の診察、神経の異常の有無などを確認します。必要に応じて、レントゲンやMRI、血液検査などを行います。
腰痛の原因としては、次のようなものが考えられます。
- 椎間板や関節などの変化
- 神経の圧迫
- 筋肉や軟部組織の問題
- 骨折、感染症、腫瘍などの病気
- 内臓の病気に伴う痛み
- 心理社会的な要因が関係する腰痛
検査で明らかな原因が見つからない場合でも、痛みがないとは限りません。画像検査で見える変化と、実際の痛みの強さが必ずしも一致しないこともあります。
また、検査で異常が見つからなかったからといって、最初からストレスが原因だと決めつけることも適切ではありません。
長引く腰痛では、必要に応じて原因を再評価することが大切です。
【病院での治療】
病院では、状態に応じて次のような治療が行われます。
- 痛み止めなどの薬物療法
- 無理のない範囲で身体を動かすこと
- 運動療法やリハビリテーション
- 痛みに対する不安や考え方にも目を向ける心理的なアプローチ
- 原因となる病気がある場合は、その病気に応じた治療
慢性腰痛では、痛みだけでなく、日常生活でできることを少しずつ取り戻すことも治療の大切な目標です。
【漢方では慢性腰痛をどのように考えるのでしょうか?】
漢方では、痛む場所だけでなく、身体全体の状態を確認します。
同じ腰痛でも、疲れると悪化する方、冷えるとつらくなる方、ストレスが続くと痛みが強くなる方など、状態はさまざまです。
そのため、腰痛という症状だけで漢方薬を決めるのではなく、体質や随伴症状などを含めて考えます。
慢性腰痛で、特に注目したい考え方が「気」と「血」です。
【気の巡りが滞る「気滞」】
漢方でいう「気」は、身体の働きを支えるエネルギーのようなものです。
精神的な緊張やストレスが続くと、気の巡りが滞る「気滞」という状態が生じると考えます。
気滞が関係している方では、例えば次のような傾向がみられることがあります。
- ストレスがたまると身体の不調が強くなる
- 気分の変動が大きい
- 胸やお腹が張る感じがする
- 緊張しやすく、リラックスするのが苦手
- ため息が増える
このような方では、身体だけでなく、気持ちの緊張や気の巡りにも目を向けます。
【血の巡りが滞る「瘀血(おけつ)」】
漢方では、血の巡りが滞った状態を「瘀血」と考えます。
瘀血が関係している場合には、痛む場所が比較的はっきりしている、同じ場所が長く痛む、押すと痛みが強いなどの特徴が参考になることがあります。
ただし、これらの特徴だけで瘀血と判断することはできません。実際には、ほかの症状や体質なども含めて判断します。
気の巡りや血の巡りに着目することで、痛みのある場所だけでは捉えきれない身体全体の状態を考えていくのが、漢方の特徴です。
【逍遥散と冠心逐瘀丹でできること】
今回ご紹介するのは、「逍遥散」と「冠心逐瘀丹」です。
どちらも、すべての慢性腰痛に使う漢方薬というわけではありません。
大切なのは、腰痛の背景にどのような状態があるのかを見極め、適した漢方薬を選ぶことです。
逍遥散(しょうようさん)
逍遥散は、漢方では気の巡りを整え、血を養う働きなどを期待して用いられる処方です。
特に、ストレスや緊張が関係して、心身のバランスが乱れている方の状態を考える際に、選択肢となることがあります。
例えば、
- ストレスが続くと身体の不調が強くなる
- 気分が落ち込みやすい、イライラしやすい
- 疲れやすく、気持ちにも余裕がない
- 緊張が抜けず、身体がこわばりやすい
このような傾向がある方では、気の巡りや血の状態に目を向けます。
慢性腰痛がある方でも、ストレスとの関連や体質を確認したうえで、逍遥散が選択肢になるかを検討します。
ただし、逍遥散は腰痛そのものに対する効果が確立した標準治療薬ではありません。また、逍遥散の適応となる状態は製品や処方の違いによっても異なるため、個々の症状に合わせた判断が必要です。
冠心逐瘀丹(かんしんちくおたん)
冠心逐瘀丹は、漢方で血の巡り、特に瘀血に着目して用いられる処方です。
漢方では、血の巡りが滞ることで、痛みなどの不調につながる場合があると考えます。
慢性的に痛みが続いている方でも、痛む場所や痛み方、身体全体の状態などから瘀血が関係していると考えられる場合には、血の巡りという視点から処方を検討することがあります。
ただし、冠心逐瘀丹は、一般的な慢性腰痛に対する効果が確立している標準治療ではありません。腰痛があるという理由だけで選ぶことはできません。
【漢方薬とあわせて、日常生活で気をつけたいこと】
慢性腰痛では、薬だけで何とかしようとするのではなく、生活全体を整えることも大切です。
無理のない範囲で身体を動かす
痛みがあると、動くことが怖くなり、できるだけ安静にしていたくなるかもしれません。
しかし、長期間の過度な安静は、筋力や活動性の低下につながることがあります。
医師などに相談しながら、散歩や軽い運動など、無理のない範囲で身体を動かしてみましょう。
睡眠を大切にする
眠れない日が続くと、疲れが抜けにくくなり、痛みも気になりやすくなることがあります。
就寝前にゆっくり入浴する、寝る直前のスマートフォンを控える、毎日できるだけ同じ時間に寝起きするなど、自分に合った方法で睡眠環境を整えてみましょう。
ストレスをため込まない
ストレスを完全になくすことは難しいものです。
だからこそ、頑張り続けるだけでなく、意識して休む時間をつくることも必要です。
好きな音楽を聴く、自然の中を散歩する、誰かに話を聞いてもらうなど、自分が少しほっとできる時間を大切にしてください。
日常生活での工夫は、漢方薬や病院での治療とあわせて、慢性腰痛と向き合うための助けになります。
【まとめ】
長引く腰痛を、ひとりで抱え込まないでください。
腰痛が3か月以上続いていると、身体のつらさだけでなく、「いつまで続くのだろう」「このまま治らないのではないか」という不安も大きくなっていくことがあります。
検査で大きな異常が見つからなくても、痛みがあることに変わりはありません。
慢性腰痛には、身体的な要因だけでなく、心理的ストレスや睡眠、気分の状態などが関係している場合があります。
そして、痛みがストレスを生み、ストレスがさらに痛みを感じやすくするという悪循環に陥ることもあります。
そんなときは、腰だけに注目するのではなく、身体と心の両面から自分の状態を見つめ直してみませんか?
漢方では、気の巡りや血の巡り、体質や全身の状態などを確認しながら、その方に合った方法を考えていきます。
今回ご紹介した逍遥散や冠心逐瘀丹も、すべての腰痛に使うものではありませんが、状態によっては検討の対象となることがあります。
「病院では大きな異常がないと言われたけれど、腰痛が長引いている」
「ストレスが続いていて、身体の不調もなかなか抜けない」
「痛み止めだけではなく、ほかの方法も考えてみたい」
そのようなお悩みがありましたら、一度、漢方という視点からご自身の身体を見つめ直してみませんか?
痛み止めで一時的に痛みがマシになっても、毎日痛み止めを服用していると、動けてしまって無理してしまうので、いつまでたっても痛み止めが手放せなくなってしまいます。腰痛の不安なく過ごせるように体を整えませんか。
当薬局では、お困りの症状だけでなく、体質や生活の様子、ストレスや睡眠の状態なども丁寧にお伺いし、一人ひとりに合った漢方のご相談を承っています。
痛みを我慢し続けるのではなく、少しでも心身が楽に過ごせる方法を、一緒に考えていきましょう。
どうぞお気軽に京都府向日市の漢方心愛薬局にご相談ください。
※腰痛が長引く場合は、医療機関で原因を確認することが大切です。発熱、原因不明の体重減少、がんの既往、強い外傷、進行する脚のしびれや筋力低下、排尿・排便の異常などがある場合は、速やかに医療機関を受診してください。漢方薬を使用する際は、服用中の薬や持病についても必ずご相談ください。
※この文章の執筆、監修者 薬剤師 岩脇左予巳

